【短編集】その玉手箱は食べれません
「君たち、なにしてるんだ?」
作業服を着た初老の男が4人に向かってきた。
「ぼくたちここの中学校の卒業生で、タイムカプセルを掘り起こしていたところなんです」
ユウキが頭をかきながら答えた。
「ワシはここで用務員をしている者だが、作業をはじめる前にせめてひと声かけてくれないと困るな」
「すいません。昨夜、飲んでいたノリで急に掘り起こそうという話になって車を飛ばしてきたんです」
「そうか。ところでタイムカプセルは見つかったのか?」
用務員のオジさんが穴を覗き込む。