【短編集】その玉手箱は食べれません


 その水たまりがいつからそこにあったのかはっきり覚えていない。


 家の脇に舗装されていない路地があって、子供でも助走をつければ簡単に飛び越えることができる水たまり。


 何処にでもある変哲もないその水たまりは不思議なことに雨が降って数日たっても消えることはない。


 真夏の暑い日でも蒸発しなかった。
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