【短編集】その玉手箱は食べれません


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「さぁ、着いたわよ」

 エレベーターが最上階に着いて親子が降りていく。


 そこには表面が格子状の下が透けて見える床材しかない。


 ほどなく歩けば信じられないタイミングで床材は突然途切れている。


 下を覗けば雲が流れていて、飛び下りるときはそれほど恐怖感がないという。


 しかし、それはある程度覚悟を決めた者の意見だろう。


 現実に男の子は寒さに凍え、母親に引っ張られている手を離そうとしている。

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