【短編集】その玉手箱は食べれません
「ねぇ、怖いよ。どこまで行くの?」
「もう少しよ。もう少しで楽になれるから……」
それから間もなくして、フッと2つの影が消えた。
おれ様は扉を閉め、新たな客を乗せるために下降をはじめた。
一階に到着すると、作業服を着た数人の男達がグシャグシャになった2つの遺体をビニールシートで覆い隠し、地面に飛び散っている血を高圧洗浄機から噴射した水圧で洗い流し、なにもなかった状態にする。
手際良く清掃作業が終り、男達はおれ様に乗って遺体を運ぶ。