【短編集】その玉手箱は食べれません
目覚め方にはいろいろある。
カーテンの隙間からもれてくる陽射し、母親に叩き起こされたり、付き合っている彼女が耳元で囁いてくれたりするなんてこともモテる男には当然起りえることだろう。
目覚まし時計の甲高い音色で心臓を引っくり返す方法が、27歳独身男の一般的な朝のはじまりなのかもしれない。
今日の目覚めは最悪。
なにか息苦しいものを感じて瞼が開いた。
ハァハァと荒い息遣いをしている自分自身に驚く。
なにか怖い夢でも見たのかパジャマは汗でグッショリ。
でもどんな夢を見たのか記憶はない。