【短編集】その玉手箱は食べれません
母親になくならない水たまりがあるんだと話しても「あっ、そうなの」とまったく相手にされない。
ある日、学校から帰って家の外で遊んでいると白い野良猫が水たまりの周りをウロウロしていたので、ぼくは猫とじゃれようとピンク色のゴムボールを転がして追いかけさせた。
不意にゴムボールが水たまりの真ん中でピタリと静止した。
猫はボールに釣られて水たまりの中へと入る。
すると、猫が溺れた。