【短編集】その玉手箱は食べれません
おれと同じように出勤途中のサラリーマンやOLが周りにいたが見て見ぬ振り。
大人が顔や服に泥がついたくらいで同情はされず、かえって白い目で見られた。
おれは勤めている会社のビルへ小走りで向かい、正面玄関を避けて警備員や清掃員が使う裏口から入った。
受付の女の子や上司や同僚たちの視線が耐えられないので、1階の来客用の洗面所へ直行。
洗面所はスペースに侵入すれば自動的に照明がつき、静かなクラッシックの音楽が流れてくる最新の設備で清潔感が漂う。