【短編集】その玉手箱は食べれません
おれは頭からたっぷり水をかぶった。
マジかよ……。
怒りのぶつけどころがわからず、濡れたまましばらく呆然としていた。
配管が破裂したのか?と思うほどの水量。
おれはずぶ濡れのまま受付の女の子にありのままを説明した。
「わかりました。修理するように頼んでおきます」
笑ってくれたらまだマシだったのに、受付の女の子はすまし顔でおれを見ないように視線を外し、喋りも早口で関わりたくないという態度が見え見えだった。