【短編集】その玉手箱は食べれません
急いでエレベーターに乗り込む。
会社が社会貢献という名目でボランティアに参加して、近所の公園のゴミ拾いしたときに着た作業服がロッカーの中にあるはず。
おれのセクションは6階。
プログラミングが主な仕事で、今日は外回りする予定はないし、乾くまで作業服で我慢するしかない。
エレベーター内は一人だけ。
今日はじめて運が傾いてきた安堵感に浸る暇なく、チンと軽やかな音が鳴ってエレベーターが3階で停止した。