【短編集】その玉手箱は食べれません


 扉が開くと男たちがおれの姿を見て眉毛を八の字にさせた。


 その中に社長がいた。


「君、なんだその格好は?」

 脇にいた重役が歩み寄る。


「す、すいません。1階のトイレが故障してまして……」

 ずぶ濡れの頭を下げると飛沫が社長の顔にかかった。


「いいから先にいきなさい!」

 叱責が飛び「すいません!」と誤りながらボタンを押して扉を閉めた。

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