【短編集】その玉手箱は食べれません
数日後、状況が一変した。
穴を補修工事にきていた人がケガをしたらしいのだ。
僕に明確な情報が伝わってきたのが放課後になってから。
脚立を立てて穴を塞ごうとしていた業者さんが倒されて、強かに頭を打ったらしく作業を中断したらしい。
話によると誰かが脚立を蹴ってケガをさせたらしい。見たのは黒い影だけで覚えていることは少なく、警察を呼んで事件にするかは検討中とのこと。
「この前見ていた水たまりのところじゃないかな?」
佐竹君は事件現場のことを尋ねてきているらしいが、僕は「なんのこと?」と恍けてみたものの、聞かれた場所が理科準備室から五メートルしか離れてない場所なので言い訳は厳しいかもしれない。
なんとなく水たまりが気になって、ナチュラルに足が向いてしまう僕を佐竹君が追ってきたらしい。