【短編集】その玉手箱は食べれません


「なんのことって、ほら、そこの水たまりだよ」
指差す佐竹君は今日もサッカーボールを持っているが無表情である。

「あぁ~そうだね」
僕は生返事で視線を逸らす。

「いま、その水たまり赤いよね?」
質問され、おやっ?と思った。

佐竹君も学校に出来た水たまりの話しを知っているのだろうか?ということは、噂が僕の妄想ではなくなり、ややこしいことになる。

「夕日が反射しているからじゃないかな」
僕は的確な答えを導き出す。廊下の片側の窓からは夕日が射していた。

「なんで今日にかぎってバケツが置いてあるんだろう?」
佐竹君が首を真横にしながら尋ねてくる。

この前きたときと違うのは水たまりの横にプラスチック製のバケツがおいてあること。

残念ながら水が落ちている場所から少しずれている。

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