【短編集】その玉手箱は食べれません
夢にまで出るようになって、ぼくは水たまりの中で溺れる映像を何度も見せられた。
ぼくは決心した。
バケツを持って水を掬(すく)おうと行動を開始した。
落ちないように細心の注意を払い、少しずつ水を捨てた。
でも、水はなかなか減らなかった。
やけくそになって汲み上げるスピードを上げたけど、変化の兆しさえ感じれない。
打開策を考えていると、近所で“悪ガキのアイツ”というだけで町内に存在を知られている後藤という上級生がやってきた。
ぼくも「給食のプレープをよこせ!」と理不尽に殴られたことがある。