【短編集】その玉手箱は食べれません


 ぼくは野球帽をそっと投げた。


「あれ、拾って」

 ぼくは水たまりに浮かぶ野球帽を指さす。


「ひょうがないなぁ~」

 なんの疑いもなく身を屈めた父親の背中をぼくは後ろから力一杯押した。

       <了>
            第三話へ

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