【短編集】その玉手箱は食べれません


「ちゃんと食べていけてるのか?」


「大丈夫」


「仕事してるのか?」


「もちろん。働かないと食べていけないもの」


「なんの仕事をしてるんだ?」


「キャバ嬢」


「おまえ水商売なんか……」

 想定内の答えだったが、おれは絶句した。


「天職よ」と言ったあと、娘は悪びれる様子もなくタバコの煙をフゥ~と吐き出す。
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