【短編集】その玉手箱は食べれません
肩を落としていると後ろから警備員が鼻息のかかる距離まで近づいてきた。
「なんだよ?」
「あなたは準危険人物として認識されたのでマークする権利が発動されました」
警備員はサッカーのDFみたいにぴったりおれに密着して腰に巻いているホルスターのボタンをはずした。黒光りした銃がチラリと見えた。
「勝手にしろ!」
苛立つ気持ちをぶつけたが、警備員は涼しい顔で滅菌されたビニール袋を手渡してきた。ポチ2号を連れてこなければよかったと後悔を抱いたまま病室に出向いた。