【短編集】その玉手箱は食べれません


「休み時間になるといまでいう都市伝説のような話を彼が始めるんだ。そうするとみんなが集まって聞き入ったものさ」


「記憶に残っている話はありますか?」


「聞きたい?」


「ええ」


「怖いよ」

 マスターは愉快そうに脅かした。


「私、怖い話大好きなんです」

 ウエイトレスはカウンターに身を乗り出して話を聞く体勢をとった。
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