【短編集】その玉手箱は食べれません
無視したければすればいい。人間を人間と思わなければいいのだ。おれは全人類を敵に回すことを決意した。
ナイフなんかいらない。武器がなくても己の力だけで十分に闘っていける。
街を徘徊していると不意に見知らぬ男とぶつかった。わざと当たってきた感のある坊主頭の若い男はこともあろうに因縁をつけてきた。
「おい!謝りもしねぇでどこ行くきだ?」
ニヤついた顔で自信満々に迫ってくる。伸ばして掴もうとする手をおれは深く噛んでやった。