【短編集】その玉手箱は食べれません


 おれはよろめきながらネオン街を無意識のうちに歩いていた。


 チカチカ光るネオンが目に刺激をあたえる。


 小耳に挟んだ話だとネオン街という言葉はもうじきなくなるかもしれないらしい。代わりに寿命の長い発光ダイオードが使われLED街と呼ばれる日がくるというのだ。


 おれの死と同調して時代の終焉がくると思えばいくらか気が安らいだ。


 路地裏に身を潜めた。エアコンの室外機、空ビンやゴミが散乱し、華やかなネオン街の負の遺産が展開されている。


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