【短編集】その玉手箱は食べれません


 昔々、貧乏な絵描きがいました。


 石畳が敷き詰められた公園の噴水の前でいつも似顔絵を描いていましたが、観光客はその絵描きのボロボロの服を見て避けて歩き、近所の暇そうにしている男の子しか寄り付きません。


 その貧乏な絵描きは腕が落ちないために毎日その男の子の顔を描いて絵をプレゼントしてあげていました。


 そんなある日、その貧乏な絵描きは不良の若者たちに絡まれて大切な筆を盗られてしまいました。


 家に帰ったその絵描きには更なる不幸が待ち受けていました。




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