【短編集】その玉手箱は食べれません
駅から出ると目と鼻の先に大きなアーケードを掲げる商店街が目に入る。
私はそこの入口付近で似顔絵を描いてなんとか生計を立てていた。
ショーウィンドーに映る自分の姿は猫背で歩き方は年寄りと大差ない。
いつのまにか34歳になり、このまま夢を追いかけていくべきかギリギリの選択を迫られる年齢になった。
現実は厳しい。様々な展示会にいままで出展してきたが賞はおろか誰の目にも留まらない。