最低彼氏にはさよならがお似合い
いつも通りにゆったり微笑みを浮かべて迎えてくれる部長だけれど、それよりも
「なぜ水瀬、さんがいるんですか」
この部長室は、来客用の入り口もあるから私たちのフロアを通らないで出入りは可能だけれども、そうじゃない。
「水瀬さんは年明け付なんですよね?」
「うん、一応正式にはね。
でもあと一週間も見学させておくのは宝の持ち腐れだろう?」
「そうですか、出直してきます」
「待った待った。夏帆ちゃん、高橋くんの持ってた夏のアクセの話をしにきたんだろう。
だから、ちょうど良かったんだよ」
嫌な予感がはっきりと形作られる。
「今回は夏帆ちゃんと水瀬くん中心に作って欲しいんだよ。」
必死で表情を変えないようにしている私に極め付きの一言。
ふたりなら、ステラに負けないだけのものが作れると確信してるよ
ステラは私も水瀬も4年目のとき任された、自社ネックレスの名前で、予想していた売り上げを遥かに上回る大成功をおさめた。
私情を挟めば付き合って1年目のとき。
元々、思考や趣味が似ていたし仕事人間だったから、お互いにアイディアを出して、批評して、それこそ寝る間も惜しんで作り上げた。
はっきり言って、すごく楽しかったし勉強になったしまた一緒にやりたいとも思った。ついでに水瀬を好きだと思ったのも確かだ。