最低彼氏にはさよならがお似合い
可愛い子にはイケメンがお似合い


とうとうカステラの広告お披露目が明日に迫った。

季節は三寒四温、そんな言葉がぴったりな時期。

なんだかんだと、プライベートで水瀬に絡まれたのは抜きにして、水瀬との仕事は間違いなく楽しかったし勉強になった。

流石は実力社会のアメリカで鍛えられただけある。


とまあ、ここ2ヶ月の出来事を思い返していれば。

「夏帆さん、明日の飲み会参加しますよね?」

高橋が顔を覗かせた。

「うん、そのつもりよ」

「はーい、参加っと」

「高橋また幹事なの」

「はい!なんかそういうことになってました」

こういう纏め役的な役割が好きなのか、嫌そうな顔ひとつせず、むしろ嬉々としているよう見える。

そういう人間て、大事よね。

私は、仕事以外では人の前に立つ目立つこと絶対にやりたくないからタイプだから。



「まあがんばって」

「はい!もっと言ってください」


「やあよ、勿体ない」

「そんな、出し惜しみしないで」

「櫻井攻略したかったら、あした飲み比べで勝てよ。高橋」

「相川さん、何言ってるんですか、」

呆れて、にやにや笑う彼を見やる。



そんな私と対称的に

「……夏帆さんて、ザルですよね」

見るからに顔面蒼白になった高橋。それにも関わらず容赦なく言葉を放った。

「男ならそれくらいの覚悟見せろよ」

ばんっ、勢いよく高橋の背中を叩く相川さんは怪しい笑顔を満面に浮かべる。


「相川さーん、高橋を急性アル中にするつもりですか」

呆れたように口にした私に肩をすくめ、

「そんなつもりさらさらないよ。社会人なんだし自分の限界値くらい分かってるでしょ」

「そんなこと言って、相川さんよく二日酔いになってるじゃないですか」

「飲み会ではないよ」

何故かどや顔。腹立つ。


「さ────「相川さん!!」

相川さんが口を開いたのを遮って聞こえてきた可愛らしいソプラノボイス。

ほんのまばたきするくらい一瞬、顔をしかめ不機嫌になる相川さん。
いまはすっかり笑顔だけど。


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