最低彼氏にはさよならがお似合い
「高橋、明日のって別にお偉方いるやつじゃないのよね?」
「え、ああはい。たしか、三国さんあたりが言い出した気がします」
「てことよ、平野さん」
「櫻井、」
相川さんの言葉を遮って尚も言葉を紡ぐ。
「良かったら参加しない?他の課との交流だと思って。人脈広げるのも悪くないと思うわよ」
「いいんですか!」
ばあっと光が広がったかと、錯覚を覚えるほど平野さんは喜色を浮かべた。
「だって。高橋ひとり追加」
「了解しました」
相変わらず可愛い笑みで、再びぺこっと頭を下げて平野さんは企画課を出ていった。
それを微笑ましく見守るも、横から黒く冷たい視線が。体に穴が開きそう。
「さーくーらーいー」
「だって平野さん可愛いかったから、つい」
ぺろっと舌を出すことはないけれど、おどけて見せたら、睨まれため息をはかれた。
「明日は絶対お前潰すからな」
そう言うと、早く飯いくぞと相川さんはひとり背を向けた。
明日は仕方ないから相川さんに付き合ってあげよう。
ため息をはいた私をもう一度睨んだ気がしたけれど、相川さんは私にはなにも言わず
「高橋も同罪だ」
ちゃっかり、呑気に後ろを歩いていた高橋に八つ当たりしつつ。
それでも然り気無く、昼食を奢ってくれるのだからなんとも良くできた人のよい優しい先輩だ。
勿論、ありがとうございますと心を込めて言っておいた。
でこぴんを返されたけど。