最低彼氏にはさよならがお似合い



静かに、さっきまでの軽さを潜めた声音に彼女たちから視線を外せば、

仕事の時のように真剣な表情で口を開く、



「水瀬やめて俺にしない」

なんでここで、水瀬。と僅かに眉間に皺を寄せる。

「…………水瀬とは関係ないですって」

「じゃあなおさら、考えてみて。
俺、結構本気で櫻井のこと好きだよ」


改めて年上を感じさせる大人な笑みをうかべ、頭を撫でられた。


アルコールのせいか、唐突すぎるなんの前触れもない告白に頷く以外まともな反応は出来なかった。


そんな私を見て満足げに笑うと、その後はとりとめのないいつもの会話を紡ぐから、誤魔化されたように笑って見せた。


こういうところ、本当に相川さんは水瀬とは違う気のきく男だと、沁々と感じさせられて、少し心音が早く、なったような気がしたかもしれないし

ただ高橋ら後輩たちが、急にクラッカーを鳴らしたせいかもしれない。


「わ、…………びっくりした」

「その割には反応薄いな」

「や、あまりにも驚きすぎて頭がついていってないだけですって

……高橋、うるさい」

ちょっと声を大きくして言えば

「夏帆さんすいません!でもこれ綺麗じゃないですか!!」

クラッカーの先からはパステルカラーのリボンが飛び出し、雪のような白いものが辺りに舞った。

「人工的な本物みたいな雪なんですよ」

「結局なんだそれ、……綺麗だけど、溶けてる」

驚かされているから素直になるのも、癪でちょっと不満げに呟けば

「まあそこは、一興ってことで」

少し照れたように笑うと、高橋はリボンのひとつを私のグラスに結んで呼ばれた方へ戻っていった。


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