最低彼氏にはさよならがお似合い

「なーんか、むかつく」

「あいつもかっこつけるようになったなあ」

「相川さん、なんか今の台詞父親みたいですね」

「気分的にはな、なに。俺のこと父親にしてくれんの？」

「え、私の？」

「ばか、お前の子供のだよ」

「きゃーせくはら」

「………………」

どこからどう聞いても棒読みなそれに、あからさまにしょげた相川さん。
ついさっきの告白を思い出して、私も口ごもる。

「……まあ、飲んでください」

反応に困ったから、とりあえず麦酒瓶を手にとって相川さんのジョッキに注いだ。

今が飲み会で助かった。

「……ん、お前も飲め。今日は潰そうとしてたんだよ」

我を取り戻し、ニヒルに笑うと相川さんは私にも麦酒を注いだ。

なんか、負けた気がしてせめてもの抵抗。

「今思い出したくせに」

「うるせえ、飲め」

開き直ったのか、いつもの自信満々な笑みで強制された。

元々そのつもりだったし、色々考えるのも面倒になった。

「はあい」

ジョッキを手に取り、一気に飲み干せば相川さんが満足げに笑い、頷いた。