最低彼氏にはさよならがお似合い
宴も酣ですが、
高橋が大きな声でお開きを告げたが、大半が二次会に行くらしい。
私は帰るつもりだったのに、
「櫻井は?どうする」
「かずくん、どうしたの?」
「…………夏帆」
なんでこんな厄介なことになっているの。
相川さんが上の言葉を発したとき、突如水瀬が私と相川さんの間に割り込んできて、それを追って平野さんもやって来たってわけだけど。
「…………何の用、水瀬」
「夏帆、お持ち帰りされるなよ」
「誰にされるか、ばか」
「なんだ、酔ってないのか」
「意識ははっきりしてるけど酔ってるわよ」
「………送る」
「かずくん、二次会行くんじゃなかったの?」
心細げに、不満げに平野さんが尋ねる。
そんな彼女に聞きたい、相川さんはもういいのかと。
まあ今のタイミングじゃないけど。
ともかく、平野さんに対して水瀬は 「予定変更、悪いな」さらりと謝り、私の腕を掴んだ。
人の意思を無視してなにしてんだこいつ。
「……私、まだ帰らないけど」
そう言い返せば途端に機嫌を悪くして、
「二次会行くのか」
低い声で問うた。
「相川さんと飲みに行く」
「…………ふざけてんの」
「なにが」
「これから男と飲みに行くことがどういうことか分かってないのかよ」
水瀬の視線が鋭くなり、掴まれた腕に力が込められた。