最低彼氏にはさよならがお似合い


「だから?」

「は?」

この男の言動にいちいち振り回されるのは、疲れるから。
感情は乗せずに、言葉だけを発する。


「なんで私の行動を水瀬が文句言うわけ」

「…………そんなの、」

「なによ」

水瀬の瞳に込められていた激情を、理性が押し込めて顔を反らされた。


「……いや、ちょっと頭冷やしてくる」

わたし達に背を向けて、呟きを落として

「かず、くん?」

「帰るわ」

誰にともなく告げて、水瀬は帰っていった。

機嫌を損ねたらしい平野さんはすっかり相川さんのことは忘れていて、
その相川さんは、呆れつつも年長者らしい苦笑を浮かべていた。


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