最低彼氏にはさよならがお似合い
「で、どうする櫻井」
「飲みましょう」
即答した私に、相川さんは声をあげて笑うと立ち上がった。
「そうだろうね、どこがいい」
「いつものとこで」
「了解。お手をどうぞ」
こなれたように差し出された、その手に自分の手を預けながら呟く。
「………………なんで、この動作が似合うんですか。実はどこぞの王子様ですか」
「そしたら、お嫁に来てくれる?」
「いいですね、一生遊んで暮らせるのも」
「金目当てか」
「それも魅力の一部ですよ」
「隠しもしないのか」
あはは、と相川さんは笑う。
「素直、なんで」
「アルコールが入ってるときはな」
「いつもですって」
「じゃあはっきり言えば?水瀬に」
「…………」
「嫌い、」
「!」
「……か、好きか」
反応した私を気にする素振りもなく、相川さんはなおも口を開く。
「………………」
「それか、曖昧にして」
くすり、妖艶な笑みが落とされると繋がれた右手に力がこもって
「俺のとこに逃げてきな。」
すとん、とその言葉がわたしに落ちてきた。