最低彼氏にはさよならがお似合い
嵐の前には静けさがお似合い
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カステラの広告の反響はかなりあって、各店舗には予約が殺到しているんだとか。
そんな大成功を納めた水瀬の帰国最初の仕事。
そのおかげだけでもないが、相変わらず水瀬は仕事を山ほど抱えているもあれ以来私との仕事はなく、プライベートでも静かだ。
そのかわりに、
「かずくん、お昼行こ」
「ああ、先行ってて。すぐ追いつく」
平野さんは水瀬にもうアタックしてるし、水瀬も邪険にせず満更でもなさそうに見える。
そして、私も
「櫻井、昼飯食った?」
「もうちょっとしてから、食べます」
「夏帆さーんさっきからそれ言ってます」
昼休みで昼食のために席を立っていた私の隣の人の椅子に勝手に座っていた、高橋が不満げに言うと、ため息と共に相川さんに腕を引かれ立たされた。
「じゃあ行くぞ、昼休みがなくなる」
「え、ちょっとまって、ください」
慌ててパソコンを振り返れば、何を言いたいか察したらしい高橋は、データを保存して、パソコンをスリープすると楽しそうに笑って後ろをついてくる。
「わかりましたから、引っ張らないで下さいよ」
最近高橋と相川さんとばかり昼御飯に行っている気がする。
確かにこいつらはイケメンと言われる種族だから地味に見えるとかそういうことはないが、目を見張るようなイケメンがいたとしても毎日見ていれば当然見飽きる。
「華が欲しい」
「花ですか?花屋寄ります?」
「あんたは素直というか言葉の裏を読みなさい」
天然過ぎる発言に、呆れを通り越して笑う私に、相川さんは何てこともなしに言った。