最低彼氏にはさよならがお似合い
和やかなお店の雰囲気と柚花ちゃんに癒され、お腹も膨れれば、睡魔が襲ってくる。
かといって、寝たら仕事が出社拒否したいほど積み重なるからそうもいっていられない。
とりあえず、眠気覚ましに珈琲入れよう。
給湯室に入って、他の人には気づかれないくらい一瞬動きがぎこちなくなった。
そんな自分に苦笑する。そのくらいの余裕はある、
「……夏帆、」
それは紛れもなく、換気扇の下で煙草を吸う男のせい。
少し息を飲んで、そいつにその間を感づかせないように言葉を発した。
「ここ禁煙だけど」
「昼休み時間取れなかったんだよ、大目に見て」
ここでたまに吸っている人は見るし、なんとも思わないからいいんだけど、
珈琲を入れる私の一挙一動をガン見してくるのはやめてほしい。
一刻も早くそれから逃れたくて
さっさと珈琲いれて、席に戻るつもりだったのについ、声をかけてしまう。