最低彼氏にはさよならがお似合い
「ねえ、夏帆」
「…………なによ」
「俺ね、夏帆のこと泣かせたくないんだ」
「…………」
「、ごめんな」
「……、意味わかんない」
「うん、悪い。珈琲ありがと、早く帰れよ」
引き止めるべきなんだろうと、思ったもののその背中をひきとめることはできなかった。
「…………水瀬、結婚するの」
聞きたかった言葉はゆっくり上って、空気に紛れて跡形もなく消えた。
ああなんだ、私なんだかんだ言ってもやっぱり水瀬のこと好きなんだ。
すとんとそれが落ちてきて、それなら自分のすることは決まった。
1度瞑目して、決意と共に目を開けた。