最低彼氏にはさよならがお似合い
けたたましいアラームを3回ほど聞いた気がする。
私も相川さんも朝に弱く、ふたりしてアラームを止めては寝て止めては寝てを繰り返す。
そして大概、私が相川さんを叩き起こす。
「相川さん、起きて下さい」
絶対起きている、抱き締められた腕の力が強くなったからわかる。
それでもなお寝たフリを貫く相川さん。
「遅刻するよ、そろそろ」
「………なまえ」
「え」
まさかとは思うけど、そんな子供みたいな理由で起きないっていうつもりじゃないだろうな。
なんか、急に恥ずかしくなってこそっと耳元で囁く。
「んー、60点。おはよう夏帆」
「うるさいっ、早く起きろ」
腕を引き剥がして洗面所へ逃げようとすれば、くすくすと笑い声に見送られた。