思い出す方法を教えてよ
次の日、病室にやってきた藍は少し暗い顔をしていた。
私はお母さんに聞いたビックニュースを藍に伝える。
「ねえ、藍!夏樹の意識が戻ったんだって」
「うん……」
「え、知ってたの?」
「うん」
もっと喜ぶと思ったのに、藍は暗い顔のままだった。
「理央はまだ会いにいってないんだよね?」
「うん。え、もしかして、すごい怪我だった!?」
自分が軽い怪我で済んだから、夏樹もそうだと思い込んでいた。頭を強く打ったから、しばらく安静にしているようにとは言われているけど、目立った傷はない。
「ううん、理央と同じような感じだと思う」
「じゃあ、なんで……」
「理央、まだわかんないよ。夏樹はちょっと混乱してるだけかもしれないし、理央と直接会えば、また違うかもしれない」
必死に言葉を重ねる藍に、なんだか嫌な予感がした。
「わかんない、わかんないけど……、夏樹、理央の名前を出してもぽかんとしてた」
「え」
「記憶喪失じゃないかって」
藍によれば、他の記憶は残っているらしい。両親のことはもちろん、藍のことも覚えていた。私より付き合いが短いはずの、高校で会った友達の名前を出しても、夏樹はすぐに反応したという。
昨日言った入れ替わりじゃないけど、これだって漫画みたいだ。彼女のことだけ忘れてしまった話を読んだ覚えがある。
「少し落ち着いたら、会いに行く?」
「うん、もちろん」
藍は昨日と同じ少し困った顔をしていた。また聞いてみたけど、やっぱりなんでもないと首を横に振るだけだった。
私はお母さんに聞いたビックニュースを藍に伝える。
「ねえ、藍!夏樹の意識が戻ったんだって」
「うん……」
「え、知ってたの?」
「うん」
もっと喜ぶと思ったのに、藍は暗い顔のままだった。
「理央はまだ会いにいってないんだよね?」
「うん。え、もしかして、すごい怪我だった!?」
自分が軽い怪我で済んだから、夏樹もそうだと思い込んでいた。頭を強く打ったから、しばらく安静にしているようにとは言われているけど、目立った傷はない。
「ううん、理央と同じような感じだと思う」
「じゃあ、なんで……」
「理央、まだわかんないよ。夏樹はちょっと混乱してるだけかもしれないし、理央と直接会えば、また違うかもしれない」
必死に言葉を重ねる藍に、なんだか嫌な予感がした。
「わかんない、わかんないけど……、夏樹、理央の名前を出してもぽかんとしてた」
「え」
「記憶喪失じゃないかって」
藍によれば、他の記憶は残っているらしい。両親のことはもちろん、藍のことも覚えていた。私より付き合いが短いはずの、高校で会った友達の名前を出しても、夏樹はすぐに反応したという。
昨日言った入れ替わりじゃないけど、これだって漫画みたいだ。彼女のことだけ忘れてしまった話を読んだ覚えがある。
「少し落ち着いたら、会いに行く?」
「うん、もちろん」
藍は昨日と同じ少し困った顔をしていた。また聞いてみたけど、やっぱりなんでもないと首を横に振るだけだった。