名のない手紙
第二章
戦争
あの日からしばらくして清は戦争へ行った
そして、すみれの不安が募る生活が始まる
『みるくほうる』は閉めることになった
そして、ある日ーー
清の姉だという人から連絡が来た
渡したいものがある、と
そして、待ち合わせ場所に向かうと
これはまた、清に似た人が待っていたのだ
清に似たスラッとした佇まい
微笑めば清の顔を思い出させる
「あなたが、すみれさんですね?」
「ええ。それで渡したいものというのは...?」
「これです。」
「これは...?」
「あの子の...清の大事にしていた指輪です。」
「指輪...。」