名のない手紙

空襲



そして、一年後


その日もすみれと澪は会っていた

それは別れる直前の出来事だった


爆弾が投下された、つまり空襲だ

それに少し早く気付いた澪はすみれを突き飛ばした


「み、お....!」


爆弾が落ちたのは遠くの住宅地だが

下手したらここに落ちていたかもしれないとすみれは思い怖くなった


「澪、もう大丈夫ですよ。」


そう呼び掛けたが澪の返答はない

すみれは恐ろしくなって何度も呼び掛けた


「澪っ!!」


澪の身体がどんどん冷たくなっている

澪がどうしたのか、すみれは分かっていた

だけど、分かりたくなかった


< 14 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop