名のない手紙
「はい。」
清も基さんに向き合う
基さんは深呼吸をした
「基さん?」
私がそう呼び掛けると基さんは顔を上げた
「一条さん、すみれさんを幸せにしてあげて下さい。」
基さんの言葉に私達は驚きを隠せなかった
「僕ももう少し待ってみようと思います。」
「え....?」
「家族が行方不明なんです。
諦めてたんですけど、今のお二人を見てほんの少しの可能性でも
信じてみようと思いました。」
そう言った基さんは少し、すっきりした表情をしていた
「幸せに、なってくださいね。」