名のない手紙
「いらっしゃいませ、一条さん。」
「名前、覚えててくれたんですね。すみれさん。」
「ええ、一条さんこそ覚えててくださってありがとうございます。」
一条 清(いちじょう しょう)。
実は両想いである
ただし、気付いてはいない。二人とも。
「いつものでよろしいでしょうか?」
「はい。」
そして清が帰ったあと、女学生が入って来た
「いらっしゃいませ。」
「今擦れ違った方、素敵だったわね。」
「私、あの人の名前聞いたことあるわよ。
確か...、一条 清さん!」
ーーチクッ
すみれはいつものことながら
今感じた痛みを分かっていなかった