名のない手紙
交わる恋心
ある日ーー
「ねぇ、聞いたかしら?」
「戦争のこと?」
近々、また戦争が始まる
街はその話でいっぱいだった
「すみれさん。ちょっと良いですか?」
「? ....はい。」
そんな時、すみれは清に呼ばれた
すみれの胸が低く音を立て始める
「すみれさん、僕は戦争に行きます。」
突然、そう告げられた
すみれはうつ向き、手のひらを握り締める
嫌だ、行かないで
という思いがすみれの心を侵食していく
そして、すみれの頬を温かいものが伝う
「すみれさん...!」
清はすみれの顔を覗き込み、目を見張った