恋色流星群

4#航大side



予定より上がりの時間が早くなり、次の仕事まで2時間も空いた。



一瞬、睡眠を取るかで心が動いたが。

昨日の理沙子の声が蘇り、気づけば車を走らせていた。




トンボ帰りになっても。

一目、理沙子を生で感じたかった。













マンションの手前の道端で、女が男と話しているのが見えた。


細い道だから、スピードを落として脇を通り過ぎようとしたとき。

その女が理沙子であることに気づいた。





思わずブレーキを踏んだが。
相手が陽斗だったら、とすぐに車を降りるのは躊躇う。







暗がりを、目を凝らして覗く。






・・・いや、陽斗じゃない。

誰だ?あいつ。



よく見ると、理沙子の腕?鞄・・・を、掴んでいるように見える。





何触ってんだよ・・・

知り合いか?













次の瞬間、強張った理沙子の顔がはっきりと見え

車を飛び出した。













理沙子が止めていなければ、簡単に手を出していたと思う。


頭に血が上り、無我夢中で。
少しの躊躇いも理性もなかった。








小さく震え、涙を流し続ける理沙子を

強く強く、抱きしめる。













このまま溶けて

俺の中で一つになればいいのに。







唇を寄せた首筋から立ち上がる、理沙子の甘い香り。




この香りが。


俺をいつも

切なく

熱く

苦しくさせる。











『こうだい・・・』






泣きじゃくりながら、時折聞こえる
小さく俺を呼ぶ声。






「・・・よかった、今日来て________。」







俺の腰にしがみつく腕に、一層の力が入る。













もうずっと、ここにいろよ。










今はもう

他に、何もいらない。

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