恋色流星群
「部屋着はこれ着て。タオルはこっちね。」
手慣れた様子で、テキパキと部屋を移動するチョコに。
感謝は募るばかり。
『ありがとーー。涙
チョコ、仕事終わり?眠くない?先にシャワー浴びていいよ?』
「大丈夫、超目冴えてるから。
理沙子とお泊まりできるって聞いて走ってきたもん。」
『お泊まり?笑』
何時間ぶりに、笑ってる。
チョコのいつも通りのノリで、恐怖がほとんど消えていた。
「メイク落としとかね、たぶん風呂にあった。
ここ大抵何でもあるから。あ、全部航さんのだから、そこは心配なく。」
『詳しすぎだな。どんだけ来てるの?笑』
「昔はね、暮らすように来ていた。笑」
脱衣所のドアを開けて
「ごゆっくり。起きてるから、なんかあったら呼んで。」
アヤちゃんが言ってた。
チョコは、planetの“王子様”なんだって。
『・・・例のお姫様は、どうなったんでしょうか?』
「は?・・・ああ~、あれか。笑
じゃ、上がったら話聞いてよ。」
綺麗な笑顔を見せて、こんな距離なのに手を振ってくれる。
チョコは、本当に完璧。
ピアスを外して、洗面台に置こうとしたら。
見慣れたシャネルのネックレスが目に入った。
当たり前に並ぶ、歯磨きにシェーバーにヘアワックス。
私、今航大のテリトリーにいるんだ。
忘れていたくすぐったさが
またふわっと香った。