恋色流星群
6#チョコside
シャワーの音が聞こえてきてから、やっとソファーに腰を下ろした。
泣いているんじゃないか、と思ったから。
思い出さなくて済むように。
考えなくて済むように。
勢いで、いつも通りのノリで突き通した。
“俺んち泊まりに来てよ”
夜中の電話の、航さんの言葉に笑ったけど。
次の言葉に、思考が停止した。
向かうタクシーの中で、募る憎悪と吐き気。
理沙がどれだけの恐怖を感じたのかと思うと。
「すいません、もう少し急げますか。」
“相手に手は出してない”と言う航さんを、出来た男だと思った。
理沙、すっぴんであがってくるよな。
ハワイですっぴん見たけど。やっぱ気にするかな。
部屋暗くして、DVDでも見とくか。
立ち上がって、DVDの棚に向かう。航さんの映画の趣味が、結構好きだ。
その時。
部屋に響く、ベルの音。
誰だろ?と反射的にインターホンに向かおうとして。
はっと気づく。
__________今、夜中の2:00だぞ。
誰がこんな時間に来るんだよ。
矢継ぎ早に鳴り響く、ベルの音。
もしかして。
鼓動が早くなる。
やばい。航さん、こんなときに来ちゃったけど。
絶え間なく音を発するインターホンの前で
深呼吸をする。
このまま無視してもな。
つーか、音が理沙に聞こえて、また怖がらせたら。
モニターのボタンを押す。
航さんを苦しめ続ける。
“愛”と言う嘘で束縛を振りかざし、決して自由を許さない。
あの人がいた。