恋色流星群
8#航大side
これは、一体。
事態が掴めず、しばし立ち尽くす。
リビングの床に軽やかに転がっていたのは。
大事に育てていた、宮崎の希少なワインボトル2本。
あれは、まだいい。
また買えばいい。
なぜか廊下に脱ぎ散らかされていた、男もののパンツ。
あれもまぁ、拾えば。
今何を履いてるのかが気になるだけ。
一番の問題は。
なぜ、チョコがこのベッドで寝ていて。
理沙子がリビングのソファで寝てる?
思わず、気持ちよさそうに丸まるチョコが包まる布団を、ひっぺがしそうになって考える。
あの時間の呼び出しに、“分かった”の即答で駆けつけてくれたこと。
玄関で脱ぎ散らかされていたスニーカー。
いくらチョコでも、普通に脱いだくらいじゃあんなに離れて散らばらない。
理沙子が1人になる時間を1秒でも短くしようと。
この部屋に飛び込んだんだろう。