恋色流星群
車が止まったのは、見覚えのある風景とタワーマンションの前。
『あれ?ここ・・・』
「見たことない?」
『ある。え?ここって。』
窓から見える夜の景色をきょろきょろしていると、ふわんと頭上に降りてきた手の平。
「だから、理沙子の家と近いって言ったろ。」
到着した要邸は、私の城から徒歩圏内でも行けるほど。
よく知るご近所エリアに君臨していた。
だいたいこのタワーマンション、六本木に越して来るとき、私も気になってたし。
大きな窓に一目惚れして、今の城に決めたけど。
もし、ここを先に室内見学してたら、こっちに決めてたかもしれなかった。
「入り方、ちょっと面倒だからよく聞いてね___________」
渡された鍵を握りしめて。
確かにセキュリティ万全の、この建物に侵入するための経路を心得る。
『ややこし・・・。汗』
芸能人は、大変なんだな。
いつかの誰かの家も、突破するの難関だったし。
思わず口をついて出た言葉に。
「大丈夫だよ、俺でもできるから。笑
それに、」
耳元に落とされる、甘い囁き。
「すぐに慣れるよ。」
・・・!!
私、このままお世話になるなんて言ってませんからー!!汗
思わず仰け反って見上げると。
「あっは、可愛い。笑」
瞬殺笑顔が美しく舞った。
寿命を縮めるほどの、危険なジョーク。
これもきっと、彼の武器。