恋色流星群
5
なんか、この並びやっぱ変。
『ねぇ、やっぱそっち行ってよ。』
銀座の某和食店。
庭園風の中庭に臨んだ個室で。向かいの席を、メニューで指した。
「やだ。しつけぇな。」
隣の男は、呆れた顔で首を振る。
「もう、先頼まねぇ?腹減ったんだけど。」
その姿に、こっちが呆れる。
2:2で向かい合う4人席に。
なぜか、先に着いた私と航大が横に並び合う。
これじゃあ、遅れてきたチョコが尋問に合うみたいじゃない。
『じゃあ、私があっち行く。』
迷彩柄のニットのクラッチを掴んで、立ち上がろうとしたら。
「だから、隣にいろって。」
簡単に肩を抱かれて。
ストン、と座り直させられてしまった。
ぐぅっと、こみ上げる怒りに唇を噛んで。
悠長にシャツを脱ぎ始めた右側を睨んだら。
「なに?怒ってんの?可愛いんだけど。」
組んだ腕をテーブルに載せて、おもしろそうに覗き込む。
『なめてる?』
「なめてねぇよ。笑
ほら、メニュー見せてよ。」
『やだ。あんたに見せるメニューはない。』
ふっと、腕組みしたまま。私から顔を反らして、笑う。
むかつく。
今日の、甘く纏う雰囲気が。
なんか、無性に悔しい。