恋色流星群

10


温かい日が多くなった5月の夜。



「理沙さん、お願いします」

いつものように葵ちゃんに呼ばれ、席を立った。







「VIPルームよ~♡」

るんるんと小指を立てて螺旋階段を上がる葵ちゃんに、イケメン来てるの?と問うた。


「うん♡あたし、ああいう感じに弱いのよね~!
あ、今日はもうお客さん少ないから、あたしも二階についちゃお♡」



まじですか。
葵ちゃんのタイプといえば。

(葵ちゃん曰くおネェに人気の)王道“コワモテ&笑顔が可愛い系”
まさに倫くんが好みのタイプらしいんだけど。


今日は誰が来てるのかな・・・












『失礼します』



重厚な扉を開けて。
「あんた、今から一階よろしく」とボーイくんに凄んでいる葵ちゃんを尻目に中に入ると。






「お久しぶりです。」

『直生さん!』


先日、倫くんと来ていた直生さんが笑っていた。

「呼出し、ごめんね。笑
今日は指名できると聞いたんで、呼んじゃいました。」

『いえいえ~!今日は、私のお客さん少ないんです。
ゆっくり話せるだろうから、嬉しい♡』

「お酒・・・あー、あんまり飲まないんだよね?何でも好きなもの頼んでね。」



直生さんの隣に腰掛けながら、ジンジャーエール、と小さく手をあげると。
すっかり目をハートにした葵ちゃんが、ウフンと頷いた。





そのとき、葵ちゃんの目線で、直生さんの隣にいる人に気づいた。

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