恋色流星群
たとえ、1キロ離れた先でも見つけられると思った。
航大の背中の、ずっと向こう。
視界の隅に一瞬、映りこんだだけのはずなのに。
一瞬で、体が燃える感覚。
心臓が、全身に音を立てて血液を送り始める感覚。
モノクロームのように白黒に色を失くした世界で、そこだけスポットライトが当たったように光る。
どうしよう。
来た。
来て、しまった。
こんな風に見える人、
私はあの人以外に知らない。
苦しい、怖い、痛い、切ない。
悲しい、愛しい、震える、会いたい。
全部の感情が、嗚咽のようにこみ上げる。
「理沙?どうした?」
歩みを止めた私に、不審そうに航大が戻ってくる。
その航大の向こうから、ゆっくりとこちらへ近づいて来る人影。
私の、失くした心臓の半分。
青木翔。