恋色流星群



嫌な予感は、的中するもの。



エレベーターの扉が閉まって、身体が重力に逆らって引き上げられ始めた、その時。

それは、私を迎えにきた。













『こうっ・・・、』


ハッ、ハッ、と荒くなる呼吸の中で声を絞り出す。


「理沙?どうした?・・・気分悪いか?」



明らかに様子がおかしい私を見て、すぐに航大が肩を抱く。




ぶんぶん、と首を振って。

どうしよう、どうしよう、とそればかりが頭をめぐる。






どんどん、酸素が奪われて。

息が吸えなくて、胸が張り裂けそうなほど苦しい。





思考が、ぼんやりと薄くなって。

ただただ、酸素を求めて喉が鳴るほど息を吸う。





ほとんど力が入らない身体を、引きずられるようにエレベーターを降りる。

床を辿る自分の足が、いやに近く迫って来ているような錯覚。
地面がグラグラと揺れている。






< 197 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop