恋色流星群
嫌な予感は、的中するもの。
エレベーターの扉が閉まって、身体が重力に逆らって引き上げられ始めた、その時。
それは、私を迎えにきた。
『こうっ・・・、』
ハッ、ハッ、と荒くなる呼吸の中で声を絞り出す。
「理沙?どうした?・・・気分悪いか?」
明らかに様子がおかしい私を見て、すぐに航大が肩を抱く。
ぶんぶん、と首を振って。
どうしよう、どうしよう、とそればかりが頭をめぐる。
どんどん、酸素が奪われて。
息が吸えなくて、胸が張り裂けそうなほど苦しい。
思考が、ぼんやりと薄くなって。
ただただ、酸素を求めて喉が鳴るほど息を吸う。
ほとんど力が入らない身体を、引きずられるようにエレベーターを降りる。
床を辿る自分の足が、いやに近く迫って来ているような錯覚。
地面がグラグラと揺れている。