恋色流星群
航「なるほどね。」
普通、好きな女の昔の男話を聞いたら。
少しくらい、嫌な顔をするものなんじゃないのかな。
『なに、その顔。』
なぜか、満足そうな口角の高さと。
満ち足りた表情が、意味不明。
「言っていいの?」
さっきまでの、しおらしい瞳とうって変わって。もはや、この目は
_____________余裕たっぷりの、俺様な目。
完全に、自分取り戻してらっしゃる。
『言えよ。』
「嬉しいんだよ。」
『は?』
「お前、あいつしかまだ知らないんだろ。」
妖しく光る瞳に。
危険な、スイッチが入ってることに気づく。
たぶん、もう遅い。
「教えがい、あるなと思って。」
ソファに横たわった私の頬の横に。
ふわっと、肘をついて被さってくる。
「初めて、初めて、って言うけどさ。」
鼻をくすぐるのは、シャネルと航大が混じり合う、世界に一つしかないあの香り。
「そんなの、“あいつとの一回目”なだけだろ。
知ったこっちゃねぇ。」
どんどん、降りてくる顔。
鼻先が触れるのに、まだ傾かない角度に。
逃げられ、ない。
「世界が、なんだよ。
そんな世界、何度だって変えてやる。」
艶っぽい視線が私の唇に下りた瞬間。
慌ててギュッと目をつむったけれど、私はまた間に合わなかった。
噛み付くように始まるキスに、振り落とされないように必死でしがみつく。
逃げる私を、許さずに隅々まで追う濡れた動きに。
懲りない私は
身体ごと掻き回される。