恋色流星群
12
『要さんの笑顔は、ある意味殺傷能力がありますね。』
私が何杯めかのウィスキーを作りながら言うと。直生さんは豪快に笑いながら同意した。
「出た!アッキースマイル!」
やめてください、とまたはにかむ。
本心だった。
葵ちゃんもやられたこの笑顔に。正直私の胸も攻撃されていた。
『女子はギャップに弱いから。
直生さんみたいに、可愛いのにリーダーシップがあって頼りになるとか。
要さんみたいに、男前な雰囲気あるのに、笑顔が可愛いすぎるとか。』
要さんは、あれからほとんど私を見ていないように感じたけど。
たまに合う目線には優しさと甘さを感じた。
・・・もともと、こういう視線の人なのかもしれないけど。
「理沙ちゃん、今日はありがとう。本当にすごく楽しかった。」
帰り際、今日初めてまっすぐ目を見てくれた笑顔と。丁寧に挨拶してくれた声の甘さに。
改めて、胸がきゅうっとしまった。
珍しいな、初対面からこんなに楽な人。
彼が隣にいる空間は居心地がよかった。
営業モード全開だったはずの私のリアルのツボは。
甘く心地よく刺激されていた。